【追い越し記事】9月入学制度導入反対 〜今年度・来年度の進級・進学問題等への提言〜

皆様、こんにちは。

 先日の続編の前に、追い越しで一本記事を上げます。


 コロナ禍で降って湧いた「9月入学制度導入」問題。
 私は、日本においては4月入学制度を恒久的に維持するほうがメリットがはるかに大きいと考えているため、9月入学制度導入には断固反対の立場をとっております。
 そして、前回の記事をアップした後、「ツイッター活動」に時間を割く日々が続きました。
 しかし、学校現場やさまざまなところからも少なからぬ反対の声が出ているにもかかわらず、拙速な導入へと舵を切られ、もはや強行採決に持ち込まれる恐れさえ出てきています。

 現在、私は意見書を作成し関係各所に順次提出しようと考えておりますが、その場合「まず、今年、来年をどうするか」という問題についての解決案を提示することが優先順位一番です。
 よって、今日の記事は「グローバルうんぬん」を追い越し、この記事にて「4月入学制度維持」を基軸とした、コロナ禍の向こう2年間の学校教育における「進級・進学問題」等に対する私の意見をアップいたします。

 ご興味のある方々、9月入学制度導入に反対の方々にお読みいただけましたら幸いです。9月入学制度導入反対派の方々のご意見、さらなる提言などがございましたら、その際にはお声掛けいただけますと有難く存じます。

 以下、私の提言です。

 * * *

★小学校・中学校・高等学校の、今年度の最高学年以外の学習
 今後、再来年(2022年)の3月末までに、「途中ではカリキュラムの弾力的な運用を行いながら」今年度と来年度の2年分の学習内容を消化する。
 たとえば、今年度の小学3年生の場合、来年(2021年)の4月以降にも3年生の教科書を使用して学校で授業を行うことを許可し、地域ごと、学校ごとに異なる子どもの学習状況を現場の教師が見極めて、学習内容の順序の変更なども含め、柔軟に授業を進める。
 遅れを取り戻すための調整期間を学年またぎで長く取ることにより、子どもの詰め込み学習における消化不良を防ぐとともに、今年度の教師の、実務上の負担の軽減も図ることができるのではないか。

★小学校・中学校・高等学校の、今年度の最高学年(小6、中3、高3)の学習
 学校再開が段階的になる場合は、各学校の最高学年の登校を優先し(韓国の方法に近い)、原則として来年(2021年)3月までに今学年の学習内容を消化する。
 ただし、地域ごと、学校ごとに現時点で進度の差があることを考慮し、来年度は進学先の1年次において通常よりも復習的な内容を手厚く盛り込むなどの調整を行う。そのためには小・中・高・大学間の連携が必要となるため、国(文部科学省)がガイドラインを示すことで、地域間の格差を極力抑えることができるのではないか。
 また、高3においては、学校間での学習の進捗状況の差がやや大きいと考えられるため、今年度に限り、卒業時期を「来年3月」「来年夏季」の二者択一制とする。(それに伴い、来年度の大学入学時期は、全国の大学において4月と9月の2回設ける。こちらについての詳細は後述。)

★各学校における業務の増大への対策
 緊急事態下で、各学校においては休校中もオンライン授業への対応などを含めた業務が増大している。学校が再開すれば、通常とは異なる授業の進め方や一層の衛生管理が求められるため、さらに業務は増大することが見込まれる。
 その対策として、半年ないし一年契約の臨時職員を各学校に複数名配置し、事務的作業や授業準備などの業務を負担してもらってはどうか。
 緊急事態下での派遣切りなど、仕事を失い困窮している人も少なくないなか、一方では繁忙を極めている業種や現場もある。その不均衡を調整することができれば、一石二鳥ではないか。
 各学校での人材採用活動では現場の負担が増すため、都道府県の教育委員会の指揮による一括採用を行ったり、派遣会社に協力を求めるのはいかがだろうか。

★来年度(2021年度)の入試
☆中学入試
 中学受験生の場合、学習塾等では5年生の終わりまでに入試での出題範囲の学習がほぼ一通り終わっているため、一律での特段の対応は必要ないと思われる。
 ただし、来年度は通常とは異なる状況で入試を迎える可能性があるため、各学校レベルで出題傾向の変化などが起こリ得ると考える。その場合、各学校は事前の学校説明会などで、受験生とその保護者にその旨を説明するのが望ましいのではないか。

☆高校入試
 地域により、個人により、学習状況に差があることが考えられるため、都道府県ごとに教育委員会が実情を調査し、場合によっては公立高校の入試における出題範囲の削減・軽減を行い、出題範囲を可及的速やかに発表する。私立高校においては、中学入試と同様の方法で対応できるのではないか。

☆大学入試
 地域・高校、また個人による学習状況の差がやや大きいと考えられるため、来年度(2021年度)に限り全国の大学で4月と9月の2回の入学機会を設け、それぞれに合わせて入試を行う。
 緊急事態下で、年間2回の入試を実施するための資金繰りが厳しい大学に対しては、来年度に限り私立大学も含め国が特別に補助金を支給し、受験生のための門戸を広げる。
 また、4月入学希望者のための入試においては、原則として出題範囲の削減・軽減、思考力重視の記述問題等の追加を行い、出題範囲・方法を可及的速やかに発表することで、受験生間に生じる格差を極力抑えることができるのではないか。

★来年の大学卒業予定者の卒業時期・企業における新卒者の採用
 高校卒業予定者と同様、今年度に限り、卒業時期を「来年3月」「来年夏季」の二者択一制とする。
 全国の企業においては、可能な限り、来年度は4月と9月の2回の入社機会を設け、2021年に大学を卒業した者に対しては卒業時期・入社時期の如何を問わず「新卒」として採用する。(たとえば、「3月に卒業して9月に入社」の場合も新卒扱い。)
 これらの対応により、就職活動の期間に幅を持たせ、就職先の選択肢を増やすことが可能になるのではないか。

 * * *